人生やり直し記

シンガーソングライターHalleyのblog

【歌詞解説】おバカな人気者にも孤高のエリートにもなれない『サマヨイビト』だったあの頃

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「絶望の中の希望」をテーマに作詞作曲している、シンガーソングライターのHalleyです。


今日は、結構好きと言ってくれる方も多い代表曲の1つ『サマヨイビト』の歌詞解説をしていこうと思います。

まずは恒例の歌詞から!

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『サマヨイビト』

作詞・作曲 Halley


授業サボって朝寝坊
煙草の煙とアウトサイダー
時期が来て スーツを着てから
知った中身空っぽの自分

今でもたまに想像するよ
それに目をつぶれば
いつもまわりに誰かいたかな?
どちらにも転べない
わたしはサマヨイビト

自分見抜かれないように
見た目もしゃべり方も変えた
満点のテストは隠して
演じたとおりのバカになった

今でもたまに想像するよ
あのままとどまれば
地位も名誉も手にしたかな?
どちらにも転べない
わたしはサマヨイビト

許せないものが多すぎて
「こうあるべき」が強すぎて
受け入れられないものだらけで
認めたくない人の中
今日も自ら偏見で
孤独えらぶ サマヨイビト

今でもたまに想像するよ
違いを受け入れ 自分でいれたら
楽に生きれた?
どちらにも転べない
生まれながらのサマヨイビト

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『サマヨイビト』の歌詞を一言で言うと、「なんで自分の人生はこうなってしまったのだろう?」と途方に暮れてる23歳の私の回想シーンである。


就活に失敗し、何とか入れた大手金融機関には馴染めず、男女差別や浮気と不倫の話しかしない女子会・生産性のない合コンに辟易としながらくすぶっていた。

そんな新卒時代にこの曲を作った。


プロフィール等いくつかの記事でも触れたが、私はもともと人材系ベンチャー志望で、入社後は誰かの「人生の分岐点」にプラスの影響を与えるような仕事に就きたいと思っていた。

志の高い優秀な人たちと切磋琢磨しながらお互い高め合う日々を理想として掲げ、ワクワクしながら未来を夢見ていた。


入社後の新人研修では、男女関係なくみんな一緒に議論をぶつけ合い、グループワークなどをしながら夜な夜な最終日に発表するプレゼン内容を考えるみたいな青春LIFEを妄想していた。

それが、就活の失敗によって見るも無残に打ち砕かれた。


理想と現実のギャップに耐えきれず、浮気と不倫の話しかしない得るもののない女子会やそれに付随する合コンを断り続け、一人黙々と家の周りを走るのが習慣になっていた。

走りすぎて、他社の駅伝サークルの人数合わせで伊豆かどっかの駅伝大会に駆り出され、同じ区間の女性の中で7位を取ってしまった。


そんなやり場のない非リア充の怨念をぶつける場の1つとして、この曲を作った。


そもそもなぜこんな人生になってしまったのか?
それを考えるには、中学生まで遡る必要がある。


これもまたプロフィールにも書いたが、中学時代コンタクトレンズにすることを親から反対された関係で「ふてくされたガリ勉」として過ごし、高校生活に青春のすべてを賭け、勉強だけして過ごした。

www.clear-scent.com

そんな勉強以外何もやってこなかった私は、人とのコミュニケーションの取り方が分からず、高校に入ってからも人間関係で苦労することになる。


メガネからコンタクトにしても、以前と変わらずクラスの片隅で本を読み続ける日々が続き、無視や仲間はずれをされてもテスト前にノートだけは見せて欲しいとせがまれた。


クソマジメで面白味のない自分の性格がコンプレックスで、次第にクラスの人気者や強い立場にいる人など「うまくやってるな」と思う人の言動を観察するようになった。


まず外見から派手にしていき、強そうに見えて舐められない鎧を手に入れた。

そして、次第に喋り方や声の調子、細部の体の動きなども真似てなるべくコピーしていくようにした。


その努力が大学時代で功を成し、その頃には誰一人過去の私が「大人しくてクソマジメなガリ勉」だったとは思わないようなキャラが完成していた。
実際疑われることもなかった。


高校時代に出した1つの結論は「なるべくバカを演じた者勝ち」だ。


出来るだけ語彙を少なくしてバカっぽく喋るようにしたり、テストの点数も実際よりもかなり低い虚偽の点数を自己申告して「えー!ヤバイんだけどー!」などど言いふらしていれば、俺も〜私も〜などと共感を得られやすかったり、親しみを感じてもらいやすい。

そして、人から利用されることも少なくなる。

(事実、それが分かっていてあえて勉強ができない風に振る舞っていたが、蓋を開けてみたら実際は成績が良かったという人がクラスに何人もいた)


だからなるべくバカを演じ、外見や喋り方、体の動きまでなるべくバカっぽく見えるようセルフブランディングしていった。


大学生になり、いよいよバカキャラに磨きがかかっていった頃、演じていただけのはずが、気づけば本当に中身が空っぽになっていた。


就活の面接でエピソードとして話せるような経験も積まず、将来のことをまったく考えず好きなことだけやって遊んで過ごし、就活に失敗した。


小学生の頃は運動神経のいい人がモテて、高校は顔がいい人、社会人になったら真面目で落ち着いた人がモテるなどの現象があるように、人生のフェーズによってもてはやされる層は変わってくる。


もっと長期的な視点に立って「このままコツコツ努力を積み重ねていけば将来自分の時代が来る」くらいの気持ちで、あのままクソマジメな自分を肯定していれば、今頃もっと花咲いていたかもしれない。


それか「おバカな人気者キャラ」の方に振り切って、価値観の違う人も受容しみんなでわちゃわちゃやれていたら、今頃もっと色んな人に囲まれて過ごせていたかもしれない。


敏感肌で少しでも睡眠不足になると大量にニキビができたり、朝型体質で夜更かしできなかったりで、華やかな友達が増えてもそこまではっちゃけられなかったし、遊び呆けていた間にかつての仲間には差をつけられ、どっちつかずの状態になってしまった。


何者にもなれない自分に苦悩し、同じような状況の人の少なさに孤独感を感じ、とにかく毎日葛藤が絶えなかった。

そんな時にこの曲を作り、ライブで披露した際に「自分も同じような想いを抱えていました」と色んな人に言ってもらえたことに大きく励まされた。


小学生の頃作詞作曲を始めた時に夢見た「一人でも共感してくれる人がいたら、辛かった過去の自分が報われる」を体感した出来事だった。

そして、今

次回以降のブログで触れるが、その後色々あって新卒で入った会社を辞め、フリーランス等を経て現在は外資系という実力主義の環境で働いている。


同世代の優秀な人たちと切磋琢磨しながら高みを目指したい

渋谷など最先端のカルチャーの発信地で働きたい

洗練されたオシャレな雰囲気の人たちと働きたい


等々、26歳の頃ノートに綴った内容は時を経て叶っているのだけれど、これはこれで大変だと思うことも多い。


安定や福利厚生は以前より減ったし、仕事ができない人や働かない人にイライラすることはなくなったけど、逆に自分がそうなってないかヒヤヒヤしたり、常に向上していく努力は必要だ。

生きるか死ぬかの世界である。


ただ、理不尽なことに神経をすり減らさず自分が努力すれば解決することが多い分、余計なストレスは少ないのかもしれない。

対人関係とかは幾分か楽になった気もする。


何をやっても一長一短、光もあれば闇もある。

「おバカな人気者」や「孤高のエリート」などの二極論に陥らず、好きなように生きながら気の合う人を見つけていけばいい。

肩の力が抜けてから聴くこの曲は、また一味違うかも?


Halley / サマヨイビト