人生やり直し記

シンガーソングライターHalleyのblog

【歌詞解説】人生に疲れ満員電車に乗れなくなった私が『パラダイムシフト』を起こすまで

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「絶望の中の希望」をテーマに作詞作曲をしている、シンガーソングライターのHalley(ハレー)です。


これまで幼少期〜20代前半までの苦労話や世の中への恨み辛み(?)を中心にお話ししてきましたが笑、この辺から少しずつ曲のテーマが変わってきます。


今回は、自分自身の人生観が大きく変わったときの体験を曲にした『パラダイムシフト』という作品の解説をしようと思ってます。

音楽制作や作詞という点でもこのあたりが転換期だったかもしれません。


これまで曲作りが自身の苦しみや悲しみを吐き出す場であったのが、学びの共有、一歩踏み出せない人へのエールなどの側面が増えていきます。

まずは、いつもの歌詞紹介からどうぞ!

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『パラダイムシフト』

作詞・作曲 Halley


あの日から人生のルール 変わっちゃった
満員電車乗れなくなって
降りたかった憂鬱なレール 踏み外して
パラダイムシフト起こった
あの夏から 真実の人生が始まった

大好きな場所から追いやられた
仲間の姿 未来重ね
愛されることを拒み続けて
居場所探し 彷徨いつづける

待ってた世界滅亡はなく
古い私が壊れただけ
自分隠す 偽りの武装
解き放つための免罪符

あの日から夢と現実が入れ替わった
家から一歩も出れなくなって
最初からこっち側の住人だった
パラダイムシフト起こって
忘れてた 真実の約束が分かったよ

たくさん着込んだ鎧の中で
痛み感じる強さを得て
昔 空から降ってきた音
時空を超えて 奏でるよ

ひとりきりだって思ってた この世界が
ちょっとだけ優しくなった

追いかけたヒーローでさえも くじけていた
何かになろうとして
仕方ない こういう風にしか生きられない
満員電車一個見送って
ゆっくりと歩いてく それが私なんだから
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『パラダイムシフト』のAメロは、私が作詞作曲を始めるきっかけとなったいとこ連続勘当事件のワンシーンから始まる。

www.clear-scent.com

成績が悪いことを理由に、いとこが祖父から怒鳴られ勘当されるのを目の当たりにした小学生の頃。


「優秀でないと見放される」という恐怖心から、敷かれたレールの上をただ歩くだけの人生が始まった。


居場所を失った私は、ありのままの自分が認められ愛されることを諦め、ただ孤独な日々を過ごしていた。

2012年、世界ではなく私の古い価値観が滅亡した

世界滅亡論が飛び交っていた2012年、私は数ヶ月間会社を休職した。

色んなことに疲れてしまい、自分を見つめ直す時間が必要だった。


ネットで世界滅亡の兆候について調べながら、もし世界が滅亡するなら家にいるこの期間にして欲しいと願った。

3.11の震災のときは会社にいて、家に帰るのに大変な思いをしたからだ。


でも、世界滅亡は起きなくて、壊れたのは私の古い価値観だけだった。


自分の中では就活が人生初の挫折体験だったのだけど、側から見ると大企業に就職して堅実な人生を送っているように見えていた。

だからずっと、降りたくても降りられないレールの上を歩き続けていて、自分はこのまま死ぬまで決められたレールの上を歩いていくのだろう、好きなこと・やりたいことをしてはいけない運命の元に生まれてきたんだと思っていた。


それが、「人生の夏休み」を体験したことで外向きにも分かるように挫折できて、これが自分の中では「レールの上から降りてもいい」という免罪符となった。


休職中はネット等の情報に触れることが多く、そこには様々な生き方・働き方のロールモデルが溢れていた。

当時ちょうどノマドブームが始まった時期だったこともあって、色々な人の退職エントリや新しい働き方に関する書籍がそこら中にあり、それらを食い入るように読み耽った。


Twitterを通じて知り合った人などからも影響を受け、わずか数ヶ月の間に大きく価値観が変わり、ちょっとした短期留学をしたような気分だった。


会社に復職しても、どこかふわふわした夢の中のような感じがして、現実感がなかった。

体験したことがある人もいるかもしれないけれど、夢と現実が完全に入れ替わってしまい、"こちら側"にいられなくなってしまった感覚だ。


私にとってこの日々は、その後の人生における選択を大きく変えてしまうくらい衝撃的な体験だった。

PV制作裏話

この楽曲の音源完成後、YouTubeにUPするための動画を制作するにあたって、新卒で配属された横浜や、営業で回っていたみなとみらい・桜木町、異動後に行った有楽町や豊洲にカメラ片手に足を運び、自ら素材を撮影してきた。


あまりにも時間がかかるので、結局途中からフリー素材を活用しだしたが、一部は自分自身で撮影した写真を使っている。


PVには、ちょこちょこ意味深なメッセージを挟んだ。

たとえば、一番のサビでスクランブル交差点が出てくるが、最初出てきたのは銀座のスクランブル交差点、次は渋谷のスクランブル交差点に変わっている。

歌詞の通り夢と現実の世界が入れ替わってしまっている。


価値観の変化後、私はもともと学生時代から好きだった東京の西側エリアを拠点に活動している。

その後登場するのは、表参道、青山通り、代官山、恵比寿などの風景ばかりだ。

豊洲の風景が出てくるところだけ、歌詞も過去を回想している。


しかし、最後に出てくる江ノ島は、私が電車好きで江ノ電が好きということ意外にあまり深い意味はない。
(ちなみに、京急線のローカルな雰囲気も好き。)

鉄オタの人は別の視点から見た方がいいかもしれない。


そんなこんなで、自ら過去の勤務地を巡礼しながら価値観の変遷を辿った曲がこの『パラダイムシフト』である。


「やりたいこと」より「やるべきこと」、「自分がどうしたいか」より「人の期待にどう応えるか」

そんな生き方に疲れてしまった人は、ぜひ聴いてみてください♪


Halley / パラダイムシフト